思うところ17.「安心感」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ17.「安心感」




    <2018.2.6記>
    私が少し時間外れに定食屋で一人食事をしていると、次から次へとお客さんが入ってくることが良くある。だが、私は「福男」でもなければ「ラッキーBOY(否、おじさん)」でもない。私は時間に追われる勤務中、「安くて旨い」ことには無頓着で、閑散とした店でもあまり深く考えずに(むしろ、空いていることにメリットを感じて)飛び込み、面倒だから入口付近に陣取って(好き嫌いが無いので)何でも旨そうに食べる。だから(同じく時間外れに飲食店を物色する)通行人に「安心感」を与えたに過ぎない。閑古鳥が鳴く飲食店は「不味いのでは?高いのでは?」と警戒されがちであるが、私はその「不安」を払拭する突破口になっただけである。

    不動産業でも似たような現象がある。売買仲介でいうと同時期に集中する「購入申込(=買付)」である。それまで全く商談が進まなかった売却物件でも買付が入るや否や、二番手、三番手の買付が重なる。その現象を「不思議」扱いする人がいるが全くの誤解であり、前述の通り「安心感」に背中を押された購入検討者が一斉に決断するからだ。「買い手が競合するくらいなら安心だ。二番手でも良いから申込しよう!」売却活動が苦戦して弱気に陥っていた営業マンの表情も打って変わり、2件も買付が入って自信が満ち溢れると、それが自然に伝わってお客様は確信する。「そんなに人気があるなら三番手でも良いから申込んでみよう!」

    だが、判断基準がそれで良いのだろうか。不動産は大きな買い物であり、何らかの安心材料が無ければ購入を決断できないのはやむを得ない。しかし、その意思決定が人と横並びの安心感からくるものであれば注意されたい。「皆が買っているから」とか「人気があるらしい」といった主体性の無い判断は危険である。

    「家」の購入であれば、「住みたい」と思う気持ちが大切である。「間取りが気に入った」でも良いし「環境」が気に入ったでも良い。妥協するにしても「学区の関係」や「実家とスープの冷めない距離」なら合点がいく。(コラム№9「家」参照)

    投資であれば、皆が買うものに群がるのではなく、独自のセンスを発揮して貰いたい。超高利回りを追求するなら築年は妥協しても良いだろう。低利回りであっても都心の築浅・ハイグレードの物件を選択する考え方もある。収益目的の投資家と節税目的の投資家は選択する物件が違って当然だ。投資家それぞれに資金力も違う。(コラム№8「登山」参照)

    人と違う判断を恐れてはいけない。また、独自の尺度を押し付けてもいけない。バブル期には、多くの経済評論家が「今が買い時、今しか、今こそ」と煽って沢山の犠牲者を出した。無責任に煽った人も悪いし、それを妄信した人も自己責任としか言いようがない。

    悪夢のような東北大震災発生時、マニュアルに従って平地の集会所に集まった多くの人々が津波にのまれた。皆が向かう所、マニュアル、学説、定説等々、それら全てが正しい訳でない。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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