思うところ27.「稼働率」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ27.「稼働率」




    <2018.4.17記>
    は、30代から不動産投資(収益物件の購入)を始めていた。会社を設立してからも売上げを安定させるべく賃貸用不動産を増やすことを心掛けている。だが、空室で困ったことは無い。リフォームに要する時間を除けば、100%稼働に近い。高稼働率が期待できる都心の物件を購入しているのだから当然であるとの見方も至極もっともである。しかしながら、私の知る限り、同じエリアにありながらも長期空室の物件が珍しくない。

    同エリア内で発生する稼働率の違いの原因は何だろう。不自然な長期空室物件を調べていくと必ず原因がある。
    裏返せばその原因を是正すれば、空室で困ることは無いはずだ。

    <既存テナントに配慮?>
    好景気時代に高値で入居した既存のテナントに下方修正した新募集賃料を知られたくない。だから割高設定だと判ってはいても相場に即した賃料を公表できない。よって集客力は弱まるが、具体的商談においては、仲介会社の賃料交渉(調整)の成果により解決されていく。また、最近の不動産市況の好転により貸主・借主の賃料に対する温度差が解消されてきた。

    定期借家契約(以下「定借」)で割安感無し>
    家賃滞納等の問題が無いことを条件に再契約可能となる「定借」ならともかく、建替や売却が決まっており、期間満了をもって確実に退去が求められる「定借」なのに割安感が無い。割安設定にできないならば、思い切って「再契約不可」をもっと強く明記したうえ、柔軟に期間を細分化して短期契約希望の特殊需要(工事現場事務所・仮移転等)に絞り込んで募集する等、次善の策が必要である。長期継続して入居できる物件を探すテナントに、ここで言う「定借」物件を熱心に勧めたところで、それは営業力の無駄遣いに等しいからだ。

    <使用制限が過酷?>
    当エリアにおいては、最上階にオーナーが住んでいるビルが意外と多い。当然の権利として自身の住環境を優先するので使用制限が厳しくなる。「土・日・祝日使用禁止」や「○○時以降の残業不可」等使用制限が厳し過ぎると賃料の割安感だけでは解決できない。(しかしながら、オーナーもその原因を理解しているので、成果が出ないことで我々仲介会社が責められることも少ない。)それでも早期に収益物件化したい場合は、小割にしてバーチャルオフィス(会社登記や郵便物の受取り拠点)の運営などに切り替えるなど何らかの創意工夫を要する。

    <賃料は安い、安いがエレベーターが無い>
    よく見ると募集図面の備考欄に小さな文字で「EVはありません。」と書いてある。格安物件に見せて的外れな集客をしても成果は得られない。堂々とエレベーターが無いことを明記して割安賃料で勝負すべきである。初期費用やランニングコストを抑えたい若い(階段が苦にならない)起業家など、意外にもEV無くとも賃料優先のニーズは多い。

    実際には、長期空室の原因は、決定的な「何か」ではなく、些細な問題が複合的に絡み合っていることも多い。
    例えば、事務所内のトイレが和式のまま(女性スタッフは耐え難い)であったり、従前の入居者のペットの匂いが染みついている住居だったり、セキュリティが緩すぎたり、厳し過ぎたり、と枚挙に遑ない。

    賃料の単なる高値設定であれば、「マーケットアウト」の一言で説明がつく。
    そうでないならば「正しく問題点を洗い出して、正しく改善すれば良い。」それだけである。

    「耳の痛い」意見にも「耳を傾けて」貰えれば有難い。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

オフィスランディックは中央区を中心とした住居・事務所・店舗の賃貸仲介をはじめ、管理、売買、リノベーションなど幅広く不動産サービスを提供しております。

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