思うところ42.「謹賀新年」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ42.「謹賀新年」




    <2019.1.4記>
    謹賀新年。新たなる年の幕開けである。年末は仕事に追われてコラムを書く暇が無かった。創業以来、当社HPの最適化を委託している「博士.Com」の担当者に勧められて書き始めた本コラムだが、長続きできるよう常に余力で書くことを心掛けている。その余力が無かったということは本業が好調であった証しに他ならない。社長が兼好法師宜しく「徒然なるまま」に「日暮らして」いるようなら社の業績は危うくなる。

    さて、年末最後まで慌ただしかったが、気持ち良く「仕事始め」となるよう年末休暇入りする前に会社の接客スペースに鏡餅を供えた。(門松・注連縄と同じく一夜飾りを避けて12月30日迄に供えるべきものとされる。)鏡餅は、一年の始まりに大切な場所にお供えして感謝と祈りを捧げるものである。さして敬虔な者でもない私であっても伝統や文化は大切にしたいと考えている。

    「餅」というと皆が正月を連想すると思うが、私が真っ先に思い浮かべるのは都心では見られない風習「投げ餅」である。(地方によっては「餅まき」または「餅投げ」)「投げ餅」とは、災いを祓(はら)うために行われた神事である「散餅(さんべい)の儀」が発展して広まったものとされる。私が子供の頃見た「投げ餅」は、上棟したばかりの新築戸建の屋根上から施主や棟梁が紅白の餅と赤い紐を通した五円玉を近所の人々にばら撒いていた。神事の発展形とされる「投げ餅」は、あくまでも「厄祓い」と考えるべきだが、現代では、「お祝い」「ご挨拶」「お披露目」の意味合いとして機能しているように思う。

    戸建の新築には神事が伴うことが多い。着工前に関係者で行う「地鎮祭」が代表的なものである。土地の四隅に青竹を立て、その間を注連(しめ)縄で囲われた祭場を誰しも見たことがあるのではないだろうか。その紅白幕の中では、神主を招いて施主・設計者・施工者ら工事関係者参列の上で「地鎮祭」が執り行われる。「神を祀(まつ)って工事の無事を祈る儀式(安全祈願祭)」と解釈して良いだろう。儀式の最終段階である直会(なおらい)の席のみを楽しみにする酒好きの御仁もいるが、勢い余って酒が進むと工事関係者の「決起集会」になりかねない。また、施主が人生初の経験だったならば、ようやく緊張から解放される段となる。「地鎮の儀」で神前の「盛砂」を木で作られた「鎌・鍬・鋤」で工事関係者が崩していく(施主は「鎌」担当が一般的)のだが、大勢の前で発声しなければならない「えぇい、えぇい、えぇい(気合を入れて3回)」は思いの外舞台度胸が要る。

    神事と言うと政治的問題発言になりかねないが、今上天皇の退位に伴って今年5月には、元号も変わる。どんな元号になるか予測がつかない。暫しの混乱に備えて契約関係書式を全て西暦に変更した。近いうちに「平成生まれ」を若者の代名詞とすることはなくなるだろう。よって、「平成築」も築浅を表すものではなくなる。

    変わるのは元号ばかりではない。世界経済の不透明感が増す中、10月には消費税率が改定される。現政権は最大限の対策を施しているように思えるが、それでも景気の冷え込みが懸念される。昨年末に発効されたTPP(環太平洋経済連携協定)の波及効果にも注目したい。まずは安価な農産物に主婦たちが小躍りするかもしれないが、その代償があることも肝に銘じておかねばならない。著しい人工知能の進歩もあってスマホ決済(QRコード決済)の普及により現金の必要性が薄れ、キャッシュレスの時代を迎えつつある。

    今年は亥年であり、経済も干支にちなんで「猪突猛進」等、直線的意味合いの語句を織り交ぜたいところだが、紆余曲折の末、想定外の結果も起こり得る「変革の年」となりそうだ。

    年の初めに「パソコンに向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書いてみた」が、心新たに気を引き締めて参ろう。本年も本コラムご愛読あれ。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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