思うところ24.「開拓」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ24.「開拓」




    は、学生時代、吉祥寺(北町)に住んでいた。静岡出の田舎者だったは、吉祥寺が若者に人気のトレンディーな街であることなど入学後しばらくして知ったことである。(所謂「ミーハー」ではない。)

    単に①募集物件が大学の学生課で紹介されて仲介手数料が不要(家主との直接取引)であったこと②校舎のある私鉄「明大前」駅と国鉄(当時)「御茶ノ水」駅双方への交通利便性が優れていたこと③三方角部屋1DK(和室6畳+DK4畳半)で月額2万8千円の格安物件であったこと、の3点が主な理由だ。駅徒歩18分と遠く、風呂無し・共同トイレではあったが、当時は大した問題でなかった。学生ばかりが住むアパートでお互いが出入りしていたから判るが、他の部屋は一律和室4畳半で月額2万4千円だったので、他の学生からは「掘り出しもの」だと羨ましがられた。広さに加えて仕様も違うので大家さんに理由を尋ねたら、大家さんのお母様が生前住んでいた部屋だから(やや高級仕様)だと判った。安かった理由は、おそらく家主が素人ゆえの甘い賃料査定だったのだと思う。

    学生時代を振り返っても、「直接取引」だの「格安物件」だの、今に繋がるキーワードが自然に溢れ出してくるので苦笑いしてしまう。

    そう言えば、学生時代「駐車場を開拓」したことがある。事の成り行きで図らずも友人から車検切れ間近でボロボロの車を無償で譲り受けることになった時だ。だが、名義書換えには車庫証明が必要になる。近隣の駐車場相場を調べると月額1.5万円位だ。貧乏学生にとっては、そんな無駄使いは受け入れ難い。
    そこで閃いた。アパートの道路向いは雑木林みたいな遊休地(荒地)になっている。貸して貰えないものか地主さんに直接聞いてみようと思いついたのだ。

    当該地の隣人なら地主を知っているだろうと思い飛び込んで聞いてみた。ここまでは殆ど「勢い」だけである。当時は「個人情報」の取り扱いなど気にもしない暢気な時代だったから、隣人も快く地主の居場所を教えてくれた。「こんちはぁ~。北町二丁目の○○アパートに住んでる齋藤でーす。」立派な邸宅を躊躇なく訪ねると運よく地主であるご老人が対応してくれた。「振り込め詐欺」など想像だにしない時代で地主も警戒心が無い。(私が童顔であったことが功を奏したのかもしれない。)地主は、私の言うことに笑顔で耳を傾けてくれた。また、「お願い」というよりも、「提案」だと考えていて、地主を説得できるよう「勢い」だけでなく「秘策」を携えていた。

    相手にメリットが無ければ説得できないだろう。今も昔も自分の都合ばかり押し付ける若者が多いが、私は違ったと勝手に思っている。「あの荒地、僕が駐車場1区画分を自分で整地するので貸してもらえませんか?月額7千円でどうでしょう。」秘策とは、すなわち相手のメリットを創出することであり、無償での労働力提供を申し出たうえで、相手が判断し易いように具体的に法定果実(賃料)を提示したのである。私の目的とメリットは相場の半額以下で自宅至近の駐車場を借り受けることにあった。

    面白いことを言う若者だと思ってくれたのかもしれない。抜根・伐採は重労働だったが、私は毎月現金7千円をもって地主を訪ねることになった。契約書すら作らなかったが約束を違えたことは無い。

    くだらない昔話と思わないで欲しい。柔軟な発想チャレンジ精神をもってすれば、不動産業界には、チャンスが無数に転がっている。「気付くか、気付かないか」である。私はこの時の「開拓」の精神を今も大切にしている。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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