思うところ11.「困った人」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ11.「困った人」




    <2017.12.27記>
    どの業界でも「困った人」に遭遇することはよくある。30年も不動産業をやっていると、「困った人」に関するエピソードは実体験と伝聞で1冊の本ができてしまうだろう。

    <ある大手不動産会社の営業所長の体験(伝聞)>
    ある日の新聞折込チラシを見た正義感溢れる主婦からのクレーム。きっとすごく真面目な人なのだと思う。その人曰く「あなた方のやっていることは自然破壊です。この様なチラシでどれだけの樹木が犠牲になっているか分かりますか?」その後自然保護への熱い思いから延々とお説教が続く。インターネットに不慣れなお年寄りは今も新聞(および折込チラシ)が大切な情報源だったりすることを事例に反論を試みても説教は熱を帯びるばかり。結論としては、「自分の(だけ)は折込チラシを入れるな!」とのこと。とても地球に優しい「苦情」であるが、不動産会社と新聞専売所にとっては少しも優しくない。

    <ある「偉い人」が建築現場を視察した時の出来事(伝聞)>
    「駄目だ!こんなフローリングの貼り方は。ピシッと貼れ、ピシッと!」その新築分譲マンションの統括責任者である営業部長は、床材の継ぎ目に隙間があるのは「施工の怠慢」であるとお怒りである。どうやら床材パネル間の約1mmの隙間が気になるらしい。壁際に至っては、(巾木を外すと)壁面と床材の間に約2mmの隙間もある。口下手な職人が必死に説明するが「言い訳するな!」と一蹴される。職人が渋々とはいえ、隙間なく貼り直した甲斐あって「目地が埋まった状態」に営業部長様はご満悦のご様子。
    時は過ぎて半年経った梅雨入り後、入居者から大クレームである。「これは何だ!フローリングが波うってきたぞ!」当り前である。乾燥した冬場に適度な隙間もなく床材を貼り込めば、湿度によって常に伸縮している「木」は、梅雨を迎えて伸長した結果、行き場を失って湾曲する。ギリシャの哲学者ソクラテスも「賢者は知らないということを知っている。(無知の知)」と言っている。やはり「賢者」と「偉い人」は別物である。

    <ある仲介会社の若手営業マンが受けた衝撃と苦難(伝聞)>
    不動産価格査定の為、若手営業マンA君が売主様宅に上司を伴って訪問した時のこと。遅刻厳禁の仕事柄、少し早く到着した二人は、エントランスで時間を潰した後、約束の3時丁度になるべく颯爽とエレベーターに乗り込んだ。客宅の玄関前に着くと上司が腕時計に目を落とした後、無言のまま微かに顎を杓った。「よし、行こう!」との合図である。A君がチャイムを押したのは、2時59分と数秒。次の瞬間、玄関扉は開くことなく部屋内から予期せぬ罵声が二人に返ってきた。「約束は3時だぞ!まだ1分あるじゃないかぁ!」
    ちょっと待って欲しい。では、3時01分にチャイムを押していたら遅刻で怒鳴られていたことになる。二人は唖然とするほかなかった。(因みに、A君は苦難の末、無事「専属専任媒介」を取得するが、同時に依頼主が他社では取引禁止の「クレーマー」として有名人であることも知る。その後のA君の苦難はご想像にお任せしよう。)

    上記エピソードが「伝聞」ばかりなのは、宅地建物取引業法に基づく守秘義務があるからだ。人物が特定されかねない「実体験」は具体的に書くわけにはいかないことをご理解頂きたい。

    我々不動産業界の者は、「喜・怒・哀・楽」または「生・老・病・死」様々なドラマの中に脇役として登場する。出演多忙な脇役は、その壮大なドラマ中の出来事をA4サイズ一枚のコラム枠をもって纏めることなどできはしない。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

オフィスランディックは中央区を中心とした住居・事務所・店舗の賃貸仲介をはじめ、管理、売買、リノベーションなど幅広く不動産サービスを提供しております。

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