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  • 思うところ10.「常識」




    <2017.12.26記>
    細身で背が高く、健康的に日焼けした目の大きい現代の美女が平安時代にタイムスリップしたら、「化け物」扱いされるかもしれない。江戸時代では、鮪は赤身こそが上物で「大トロ」は、捨てる部位だったという。現代の若者が言う「ヤバイ」は私の知っている本来の意味とは180度違う。「常識」など実に儚いものだ。

    不動産業界も随分「常識」が変わってきた。例えば、昭和40年代のマンションは、エアコン用のスリーブが無い部屋が珍しくない。当時エアコンはとても贅沢品で全室設置など設計者が想定しなかった。昭和50年代迄は間数が重要だった。60㎡台でも3LDK、70㎡台なら4LDKの方が売れた。今では、家族構成・ライフスタイルの変化により80㎡超でも細かい部屋割りを嫌い「2LDK・リビング20帖以上」に拘る人が多い。
    その80㎡超も海外生活の長かった人からすると狭苦しいという。

    かつて人気の「和室」は、少数派になりつつある。ご高齢のご婦人曰く「高齢者が和室を好むなんて単なる思い込みよ。だって、布団の上げ下ろしなんて腰が痛いんだもの。」なるほど、一理ある。

    最近都心部では、マンション駐車場の稼働率が落ちている。バブル期はあれ程足りなかったのに、だ。バイク利用者も少なくなった。バイク置場を廃止して来客用駐車場にした管理組合すらある。交通利便性の高い都心部では、車・バイクを保有することに然程のメリットを感じないのだろう。皆が持たないのなら引け目も感じない。「レンタカー」も使いやすいし、「カーシェアリング」も普及してきた。洗浄便座付トイレが当たり前で育った子ども達は、社会人になってから3点式のユニットバスに戸惑う。汲み取り式の和式トイレなど無縁の世代だ。「衛生車(バキュームカー)」など見たこともないだろう。

    外国人に「常識」の違いを思い知らされることもある。台湾の方にキッチンの天板に天然大理石を使っていることをアピールしたら、「私の国は暑い。(肌に触れて清涼感のある)大理石は床材に使うものだ。」とバッサリ。中国の北部出身の方に角部屋をお奨めしたら、「私の国は寒い。(寒気の影響を受けやすい)角部屋ほど安いよ。」業歴30年の自信も揺らぎかねない衝撃を受ける。

    ならば、先回りして将来の「常識」の変化を予見してみよう。
    1.投資用マンション(第三者使用率60%超を目途に「投資用共同住宅」認定制度が創設される。)の理事長は、応分の報酬を前提に公的な管理士団体から派遣されるよう行政指導または法制化。理事・監事はその監視役に専念。所有者が地方・海外に散らばったコミュニティをボランティア精神に委ねるのは不可能になるからだ。
    2.マンション管理運営にAIをより多用化。受付に24時間鎮座するコンシェルジュはアンドロイド。長期修繕計画の立案や修繕積立金値上げのタイミングンもAIがほぼ完璧なシナリオを描く。マンション管理30年のベテランも敵わなくなる。
    3.化石燃料が使われなくなって幹線道路沿いのマンションが人気化。なぜなら騒音も排気もないからだ。目の前に建物が建つ心配がないメリットの方が評価されることとなる。
    4.新築分譲時に60年後の建替決議を事前承認。紛争防止策として「建替決議済建物」の表示が登記簿に明記される。新築分譲マンションの新たな販売方法として注目される。賛否分かれて怒鳴りあう建替協議も無くなる。

    考えだしたら、キリが無い。宇宙の果てを想像するのと同じだ。私は星を見ると頭が痛くなってくる。無意識に私の脳が宇宙の果てを解明しようと挑戦を始めるからだ。目を凝らせば、「常識」の変化は現在進行形で未来に向かって無限に広がっている。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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