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    本日のコラムは、「トイレ」にまつわるエトセトラ。意外にも「トイレ」が不動産取引の決め手になることが多々ある。売買にせよ、賃貸にせよ、居住用であっても、事業用であっても。

    当社のリノベーション事業として、投資用とも居住用ともなるワンルーム(以下「1R」)を扱うことが多いが、20㎡程度の商品企画において、工事費が割安で済む「3点式UB(3点式=トイレ・浴槽・洗面台一体型、UB=ユニットバス)」を採用するか、割高であっても人気の高い「風呂・トイレ別」にするか、いつも悩みどころとなる。

    もっとも、当社の主要営業エリア(中央区)においては、1R規制の影響もあって手頃な物件の供給が少ないのに都心に住みたい単身者・セカンドハウスの需要が旺盛である為、賃料設定さえ妥当であるならば、風呂・トイレが別であるか否か、どちらであっても大きな問題とはならない。

    しかしながら、当エリアで「3点式UB」と「風呂・トイレ別」では賃料格差が1万円程度発生するのも事実だ。つまり、「風呂・トイレ別」への変更工事は、年間12万円の賃料増額が期待できるということであり、収益還元法に照らして販売価格を見直すと、必要利回りが6%の物件と仮定した時、販売価格を200万円押し上げることになる。また、「優良物件化」によって、稼働率がUPするならば、必要利回りを押し下げる効果もある。

    だが、トイレに拘るあまり危険な改修工事をした1Rを見たことがある。3点式UBにトイレ用のコンセントを増設して市販の洗浄便座を備え付けたものだ。当然にシャワーの水が掛かれば感電事故や漏電火災の恐れがある。しかも、ドライヤー用のコンセントまで増設してあったからリスクが高い。絶対にやってならぬ違法な工事である。最近では3点式UBでありながら洗浄便座付のアイデア商品が普及してきたのでそちらに注目して貰いたい。

    当社は、賃貸オフィスの取扱い(仲介)も多いので、専有部にトイレがあるオフィスは女性職員に敬遠されることを知っている。オフィス移転計画の責任者が男性であり、女性職員の気持ちを理解しないでオフィスを選ぶと後々非難の的になるかもしれない。やはり、共用部に「男女別トイレ」があることが理想的である。(その分、割高になる賃料を覚悟さえすれば、のこと。)因みに、女性トイレの「音漏れ&節水」対策には、「音姫(TOTO製)」などの設置が有効である。

    ビルオーナーから「私のビルは、古くとも立地は良いし、割安な賃料設定なのになぜ人気が無いの?」と問われたことがある。言いにくいが、立地が良くても、割安でも、今時「和式トイレ」は受け入れられないのである。求められる事務所の設備・仕様は、時代と共に変化しており、賃料の割安感だけでは解決できなくなってきた。

    そうは言っても、外国人から「他人が座った便座に直接座るのは馴染めない。」と言われたこともある。洗浄便座の使い方からして社員研修する必要があるのだと言う。「和式トイレ」を希望する《ごく》少数派がいる。

    尚、トイレの故障は、賃貸管理会社泣かせのトラブルである。以前、深夜営業する地下飲食店の汚水ポンプが停止したことがある。結果としては、故障ではなく、何らかの原因で漏電ブレーカーが落ちたに過ぎないのだが、テナントの独断で緊急手配した業者の法外な費用請求の処理に困惑した。深夜2時に現場へ急行した業者の割増料金も理解できない訳ではないが、本来はビルオーナーへの事前相談あってこその貸主負担である。勿論、復旧方法など知るはずもないテナントがやむを得ず「緊急避難行為」としたのも分らぬでもない。

    トイレにまつわるエトセトラ。たかが「トイレ」されど「トイレ」なのである。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

オフィスランディックは中央区を中心とした住居・事務所・店舗の賃貸仲介をはじめ、管理、売買、リノベーションなど幅広く不動産サービスを提供しております。

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