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  • 思うところ9.「家」




    <2017.12.19記>
    書き溜めた記事を読み返していたら、ふと気づいた。私の記事は、不動産を事業用・投資用の観点から述べていることが多い。そこで今回は、その偏重を修正すべくテーマを「家(=居住用)」とし、私が思う家購入時の「あるべき姿」を述べたい。

    結論から言うと、居住用たる「家」については、どんな不動産であっても本人(家族)が気に入ったものであれば良いのである。身の丈に合った予算である限り、「新築」でも「中古」でも、どんな「間取り」でも「広さ」でも。「蓼(たで)食う虫も好き好き」とまでは言わないが、食べ物や衣服と同じで個人の好みは十人十色だ。個人の主観で決めればそれで良いのだ。

    だからこそ、私が提言したいのは、「家」については、「儲け」の対象外とすることである。運よく多額の利益に恵まれることもあり、不動産投資の一環と考える人も多いが、実のところ短期的な所有で「儲けた人」は意外と少ない。むしろ無欲の人がある日気づいたら多大な資産を築いていることの方が多いように思う。

    ある大手企業に勤務する高年収の40代男性のバブル期(昭和63年頃)の呟き(想像)「自宅が倍の値段で売れた。こんなに儲かるなら、《できる限り借金》してもっと大きなものを買おう。」
    だが、バブル期に多額の借金ができる社会的地位にあった彼は、運悪くその後デフレの泥沼に呑み込まれていく。当時の住宅金利は4~6%超が普通、悪名高い「ゆとり返済」なる変則返済システムで6年目から支払いが跳ね上がる。売却可能額が残債を大きく下回り売ることもできない。
    彼がに目が眩むことなく、「快適な住まい」であることに重きを置いて無理のない住み替えをしていたのならば、不動産相場が上がろうが下がろうが、きっと家族仲睦まじく楽しい人生を送れただろうに。冷静に考えれば、同じエリアなら住み替え先もまた値上がりしている訳だから、同時に「高く売って」「安く買う」ことは至難の業だと気付く。金融商品と違って売却経費も購入経費も高い。

    仮に予知能力があって、20年後に不動産市況が「底値」になると分かっていても無駄。その人が50才なら、20年後に住宅ローンを組むことは難しい。そもそも底値になるまでの20年間支払い続ける家賃を積算したら得したと言えるのだろうか。人生100年と考えれば、多少の運不運(高い・安い)があったとしても買うべき時に気に入ったものを無理なく買って、ライフステージに合わせて住み替えていくのが良い。買うことが叶わなければ賃貸物件でも良いではないか。家族が増えて「広さ」が必須条件ならば、郊外で探すのも賢明な選択肢だ。重要なのは「快適な住生活」が送れること。

    たまたま、地方転勤命令でバブル期に都心部の自宅(相続で取得)を売却して多額の利益を出し、3千万円控除(条件を満たすと譲渡益3千万円まで無税)の恩恵を受けたうえ、地方ならではの安価で快適な賃貸住宅で過ごしたのち、10年後に東京に戻ったらバブル絶頂期の半値で新築物件を購入した幸運な方もいる。しかしながら、売却時期も購入時期も偶然そうなっただけだと「あっけらかん」としている。まさに「無欲の勝利」だ。

    あくまでも私見ではあるが、家を買うならば、儲かるかどうかよりも、
    ①住みたいと思う街・住環境であること
    ②住みたいと思う「家(建物)」であること
    ③無理のない資金計画(月々の返済額は、不測の事態で賃貸物件化しても「持ち出し」がない設定)であること、の3点を重視して欲しい。

    戸建なら、「実家」として代々受け継がれると尚良い。「柱の傷」も大切な「思い出」だ。地域の友人も大切な財産である。金額で測れるものではない。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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