【寄稿№1】温泉効果と100歳時代  | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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    <2022.5.18寄稿>
                               寄稿者:カッパ 
                                          
    オフィスランディック齋藤社長とのお付き合いは、東日本大震災の後で11年になります。社長のコラムで書いてらっしゃる事を色々教えて頂いたのですが、不出来で失敗ばかりしています。このたび、何か書いてみないかとのお誘いに乗ってみました。

    さて、私が東京に出てきたのは25年前50歳の時、主人の「東京で自分が通用するか試してみたい」との一言です。南青山に住みたいというので探しました。無鉄砲にも「ワー面白そう」と思ってしまったのです。本当にジェットコースターにのっているようでした。退職金もすぐなくなりました。神田川はいい歌と、口ずさみ頑張りました。主人のこと大好きだったのです。

    リンダ・グラットン著『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略』(アンドリュー・スコット共著/池村千秋訳、東洋経済新報社)、この本を読んだとき衝撃を受けました。
    100歳!あと30年も!!!娘時代は父に守られ、結婚しては主人に守られ、古い価値観で生きてきた私のこれからを考える良い機会になりました。少しでも社会の為に!

    2016年熊本地震が起き、主人の故郷別府も揺れました。当時故郷には姑が94歳一人で頑張っていてくれました。とても気丈で身体的にもしっかりしていたのですが、ガスレンジに燃える物をかけて火を出すなど不安定になり、介護施設に入ってもらいました。
    それから6年、今年100歳!になります。現状は、施設で転んで大腿部を骨折し病院で手術、チタンを入れたのですが、一歩も歩かないまま痴呆が進み、見舞った時は鼻からチューブの鼻腔栄養になっていました。

    先生には高齢だから自然に旅立たせて下さいとお願いしていたのですが、遠方から結果を説明されて、抜いてくださいとは言えません。手はチューブを抜くので拘束されています。同意をするのはつらいことでした。フロアのほとんどの入院者が同じような状態で、病院の3階と5階を定期的に移動しています。楢山節考が頭をよぎります。この2年半コロナで面会も出来ず、スマホで写真を撮ってもらうだけです。私も主人も、自分達の時は延命など何もしないよう家族に伝えています。

    別府は風光明媚な素晴らしい場所です。鶴見岳に連なる山々を背に、別府湾へとなだらかに広がる扇状地形。モクモクと上がる鉄輪温泉の湯煙。別府には別府八湯と言われる代表的な温泉があり、浜脇、別府、亀川、鉄輪、観海寺、堀田,柴石、明礬、これらにはみな共同温泉です。その他に無数の有名温泉があり、宿泊施設や家庭に引かれています それぞれ泉質が違い、PHプラスからマイナス、泥湯に高熱温泉に冷泉にと多岐にわたります。草津温泉、熱海、湯布院より観光地のポテンシャルは高いのに、広すぎて、それが欠点でもあるようです。

    お湯に入れば天国です。もちろん地獄もあります。
    姑を見舞いに帰るたび、別府はいいなと思うようになりました。
    JR別府駅前からの旧市街繁華街は、ごたぶんにもれずシャッター街で寂れています。
    別府で何かできないかと思うようになり、主人に50年連れ添ったのだから、後は自分になにが出来るのかやってみたいと宣言し、繁華街の古いふぐ料理屋が売りに出ているのを購入しました。改装費はその倍かかりました。齋藤社長にすぐレッドカードを挙げられますね。

    そこではカウンターに抹茶用のお釜を据え、抹茶、玉露、煎茶などの喫茶店を始めました。地元のAPU立命館大学の留学生などが日本文化と親しんでくれました。お店の隣の地震で取り壊された温泉と足湯の復活にも協力しました。でも今はコロナで休養中。
    二番目のレッドカードはこれも廃墟のような古い二階建てのビル。6室のスナック跡と真ん中に自噴の温泉一室、二階は2kの住居。どうなることやら。

    別府の人の生活パターンを知ると、こんなゆったりとした生活があるのだと、羨ましくなると思います。朝からそれぞれの仕事の時間に合わせて、温泉用具を持ち共同温泉に入り、客同士で話弾んでリラックス、さあ仕事です。岩崎宏美さんの歌「聖母たちのララバイ」に、“都会は戦場だからみな傷を負った戦士”という歌詞がありました。どうぞここへいらっしゃい! 少し休んで心身の傷を治していきなさいと言える、そんな場所になれないかと今は考えています。


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