【寄稿№45】私が中古マンションを買った話 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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    <2023.6.2 寄稿>                       寄稿者 ふんふん武丸
    私は数年前に、川崎駅近くの中古マンションを購入した。
    川崎駅界隈と言えば、首都圏では住みたくないランキングの上位に常にあがるほど治安の悪さで有名だ。それは住んでみても本当に噂にたがわずといったところで、購入前にも「やめたほうが…」という声が聞こえてはいた。
    それでも、購入を決断したときはすがすがしかった。
    いまだに、神経質で優柔不断の私が、なぜサクッと不安要素のある物件を決められたのかは自分でも信じられない。不動産仲介営業さんの参考になるかわからないが、購入を決めるのはどんな瞬間だったか、といった経験談を少しお話させていただきたい。

    私のような庶民にとっての不動産購入は、人生の大きな決断であるし、予算も限られすべての条件を満たすのは不可能だから、情報集めが勝負だと思った。過去に不動産関係の仕事に携わっていたこともあって、情報集めにはそれなりにこだわって、普通の人より多くの情報には目を通したと思う。来る日も来る日も物件情報とにらめっこした。物件のスペックはもちろんのこと、私は関東の人間でなく土地勘もないので、住むエリアにはどういう歴史があって、どういうエリアとして認知されているかといったところにも細かく注意した。

    物件探しは面白くて、時間をいくら費やしても苦ではなかったが、迷宮入りしそうな予感もあった。いろいろ考えていたら選べなくて、結局何年も買えないという人は結構いる。絶対にいま転居が必要な理由というのもなかったので、まあ気に入るものが出てきたら、くらいの気持ちだった。業者にとってはおいしくない層の客だ。

    そんな感じで、かかわった営業さんには迷惑がられながらも、何件もの内見を行った。
    その一つで川崎駅近くのマンションを紹介されたが、予算も超えていたしエリアへの不安でNGかなと思った。たまたま時間があったので、参考程度に見ようかな、くらいの感じで内見の提案に応じた。
    オーナーさんが住んでおられて、キリっとした聡明な雰囲気の奥さんが対応してくださった。築20年以上たっていて設備が古いものの、家に入ったときの空気感は、なんだかよくわからないけどスッと受け入れられる居心地の良さがあった。
    そのあと、マンションから駅までなんとなく歩いてみたとき、『なんかこの風景しっくりくるな』と思った。その感覚を他人に説明しようと思っても、たぶん説明ができない。その時、単に天気が良かったとか、体調が抜群に良かったとか、機嫌がよかったとか、そういうこともあったかもしれないと思い、コンディションの悪いときに再訪してもう一度歩いてみた。そのときも、やはり『以前からここに住んでいた気がする』といったようななんとなくのしっくり感があった。それまでにない感覚だった。
    理屈で考えたら、この物件よりこっちだろうという物件は他にもあったし、治安が悪く、住みたくないエリアに分類されているのもわかっている。川沿いで地盤に問題があるかもしれない。しかも、価格は予算を超えている。
    だけど、そのしっくり感を感じてからの私は、買わない理由を探すより、買う理由を探すほうに意識が向かってしまった。
    ローンはギリギリだけどクリアできる。管理状況もいい。町は再開発を積極的にやっているから将来性も問題なさそう。東京にも横浜にも空港にもアクセスがいい。駅から徒歩圏で2LDK自体は数も少ないから、将来売ることになっても需要は問題ないかも…などなど。言い訳をあれこれ探した。

    理屈の部分だけ考えていたら、いつまでも決めきれなかったかもしれない。結局は直感というか肌感覚だった。物件探しも結婚みたいなものだなと思った。
    そうなってくると仲介営業さんも頭を抱えるかもしれないが、もし迷っている人がいたら「直感を大事に」というアドバイスはできるかもしれない。
    ありがたいことに、今のところ「あっちにすればよかった」という後悔もなく、治安の悪さも適度に面白がりつつ、川崎ライフを満喫できている。

     


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