【寄稿№51】 マンションめぐりの楽しみ | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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    <2023.8.2 寄稿>                          寄稿者 ふんふん武丸
    コロナ禍のはじまり2020年は、飲食店を中心に時短営業が実施され、夜20時以降になるとあたりが真夜中のような雰囲気に一変してしまうという、これまでに経験したことのない光景が繰り広げられていた。そんな特別な期間にあって、不謹慎にも出歩きたい欲をなんとか満たせないか…と思案して、たどり着いた答えが、かねてからやってみたいと思っていた「東京のすごいマンションめぐり」だった。
    なんともバカっぽい思いつきだが、東京には地方であまり見ることのできない「すごい」マンションが本当に多い。思いついた最初のころは、ミーハー魂丸出しで芸能人や著名人が住んでいるとウワサの超高級マンションを中心に見てまわった。自宅で夕食をとったあと、20時頃から車を都内に走らせて、いくつかの超高級マンションを見学して帰る。時短営業による夜間の人出の少なさで、駐車場に困ることもなかった。
    見学といっても、夜間であるし敷地内は限られたエリアしか入ることができないので、ほとんどエントランスや外観だけ眺めて付近をちょっと散歩するだけのことである。そうして、成功者の暮らしっぷりを肌で感じ、思いを馳せてみる。ときに常駐の警備員に不審がられつつも、外観だけで「うおお!」と声をあげたくなるほど圧倒されるマンションの魅力にドハマりし、「金曜の夜はマンションめぐり」というのが、なんとなく定着した遊びのようになっていった。
    そのうち、私の関心は超高級マンションからヴィンテージマンションと呼ばれるものに移行した。ヴィンテージマンション、といってもネット上で見る限り公式に定義があるわけではないようだが、古くても価値が衰えないような物件がそのように呼ばれている。なかでも筆頭格とされている「広尾ガーデンヒルズ」は、1981年から1987年にかけて住友不動産、三井不動産、三菱地所、第一生命保険の4社によって建設された一大プロジェクトの大規模マンションで、この4社のラインナップだけでアベンジャーズ感に沸くところだが、当時の背景なども詳しく調べてみたうえで見てみると本当に感慨深い。いざこの伝説的なマンションのエリアに足を踏み入れたとき、異世界に迷い込んだような、外国に来たような、タイムスリップしたような、なんとも表現できない別世界に来た感覚を覚えた。「ここ東京?」と言いたくなるほどの緑の多さと静寂。建物は確かに古いものの、大事に管理されてきたことがうかがえる清潔感を十分に保ち、東京駅の駅舎などにみられるような、残しておきたい古き良きものとしての存在感があった。ここだけは、夜間だけでなく昼間にも訪れてみたが、人気の少ない夜間のほうがより異世界感とノスタルジックを感じられておススメである。この手のものでは「三田綱町パークマンション」あたりも個人的に良かった。
    そのほか、資産としての価値があるのかないのかわからないが、「秀和レジデンスシリーズ」
    「ホーマットシリーズ」など、デザイン性で支持されているマンションもヴィンテージマンション群にはある。白いうろこ壁に青い屋根が特徴の秀和レジデンスに関しては、すでにマニアがいるほどの人気っぷりだが、マンション横を歩くだけで地中海の風を感じられそうな(?)雰囲気がある。また、デザイン性というところでは「日本のガウディ」と呼ばれた梵寿綱という建築家が手掛けた「ドラード早稲田」などもぶっ飛びすぎたデザインで、ただただ圧倒されて面白い。
    あげていくとキリがないのだが、東京には本当にすごいマンションがそろっていると思う。たまに足を止めて眺めてみてはいかがだろう。マニアックの扉が開かれるかもしれない。

     


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