
<2026.9.17寄稿>
寄稿者 So
最近、旭川や岡山、仙台といった地方都市で1億円を超える「ローカル億ション」が次々と建設され、完売が相次いでいるというニュースを見た。
岡山市では1億円以上の住戸34戸のマンションが完売しており、最高価格は3億6998万円に達したという。
働き方のハイブリット(テレワークと出社)の影響で地方にも人口が流れ「地方経済の活性化」が進んでいるのだとこの現象を手放しで喜んで良いのだろうか。
地方都市などは戸建て住宅の選択肢も多い中で、なぜ億ションが誕生し、売れているのか。いつ頃からこの現象が始まり、いったいどんな人が購入しているのか。そして、東京の“億ション”とは何が違うのか。
東京では億ションが当たり前で23区では平均価格が1億を超えている。
(ただし東京都内では平均掲載価格が億を超えているが、実際蓋を開けてみると、成約価格は7000万円前後というデータも出ており、販売価格と大きく乖離している。)
地方都市においてこの億ションが出回り始めたのは最近のように感じる。
要因としては輸入資材の価格高騰に加え、建築・運輸業の人材不足と人件費の上昇。マンションを作るためのコストが高くなったというわけだ。
それだけではない。
富裕層の個人投資家が資産の一部として不動産を選び始めたことが大きい要因だろうと思う。
そのきっかけになったのが、記憶に新しい晴海フラッグの問題。晴海フラッグは中国の投資家などが投資目的でこぞって買取、転売をしている。億ションという言葉を耳にするのが増えたのはそのころのように思う。
円安の影響もあり、こぞって日本の不動産を買うので、マンションを売る方は儲ける。たとえそれが誰であろうが儲けになるのでマンションを建てる。この状況がマンション価格を押し上げている要因だろうと。
では実際に今回の地方億ションは誰が買っているのか?
購入者は、60代後半から70代を中心とする年配の富裕層が、相続税対策として不動産を購入するケースと、パワーカップルと大きく分けて2つの層が購入しているとのことだが、大半は相続税対策としての購入だろうと思う。
つまり「住む」という目的の購入ではないということだ。
ここで問題になるのが、マンションの老朽化の問題で、普通誰も住んでいないよりも家に誰かが住んでいる方が老朽化が進みそうな気がするが、誰も住まないことでもかなり老朽化が進むのだ。
居住者が少ないマンションの老朽化がどんどん進むと、ゴーストタウンのようになってしまうため、地方活性には繋がらないのではないかなと思う。
このように、億ションは住むものではなく資産運用の道具としての側面があり、価格も吊り上がっている。本当に住みたい人の手が届かない金額になるほどになり、マンションの老朽化も進む。
本来の「不動産」の語源としてはフランス民法典などの「動かせない財産」を意味する言葉を「不動産」を訳したものらしいので、もともと資産としての側面はあるのだろうけど、住みたい人が住めないほどとなると、なんだかなあと思う。
この価格の高止まりはいつまで続くのか。東京都内では都心5区のマンション価格が26カ月ぶりに下落したとのことだが、今までが以上な価格だっただけで、急激に下がることはないだろうと思う半面、このまま緩やかに下落していくだろうとも思う。
個人的には住みたい人が住めるような価格になることを願う。家は本来そういうものだから。