思うところ154.「BM事件」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ154.「BM事件」




    <2023.9.1記>
    かつては大手不動産会社(A社)の様々な部門で管理職を務めた経験のあるB氏がこのところ世間を騒がせている中古車販売大手の悪行(BM事件)についての思うところを語ってくれた。彼の所見によれば、その昔は不動産業界における大手仲介会社でさえも類似の「道を外れた営業手法」がまかり通っていたらしい。

    B氏:BM社の言う「@(アット)」ってさ、要するに車1台当たりの修理の儲けだろ?1件の修理の額にノルマがあるのは甚だ疑問だよなぁ。それって君がコラム№36で書いてた「囲い込み」の問題と同じなんじゃない?不自然な「両直率(総取引における両手仲介割合)」の件だよ。売主の利益そっちのけで他社の良い条件の買主を蔑ろにしてまでも直客優先(=両手=売主・買主双方から仲介手数料を得ること)、それで売上向上を目論むんだからさ。

    最も悪質だと思うのは、敢えて積極的な売却活動をせず、売主が弱気になった頃を見計らって値下げを提案し、下取価格で買取り専門の不動産会社(=買取業者)に買わせることだね。下取り契約と謂えども仲介したことに変わりはないから両手(売主から本体価格×3%+6万円=手数料上限、買主からも同額)を申し受ける。更にその買取業者に再販時の専属専任媒介を確約させておいてリニューアル後も両手を狙う。それを「専任返し」による「2回転目」って言うのさ。だから手数料率で言うなら12%以上もの儲けになるんだよ。歩合給の多い会社(査定期間内の仲介手数料総額×10%程度が賞与、半年間で5,000万円売上げれば半期の賞与500万円!)だったから更に上を行く悪党どもがいてね。買取業者からコンサルタント料(又は業務委託費)名目で手数料の上積みを要求したりしていた。コンサルティングの実体が無いなら明らかに手数料率超過の宅建業法違反だね。個人の懐に直接入っていたなら疑いようも無い背任行為だろうよ。

    当時のリテール部門営業トップC本部長(TBS日曜劇場「半沢直樹(前編)」で悪の限りを尽くした頃の「大和田常務」、いや、帝政ロシア時代の怪僧「ラスプーチン」のような人物といった方が的を射ている。)を崇め、恐怖支配による宗教的な集団と化していたその部署で横行していたのは、買取業者にとっては所謂「地獄の2コ1」というやつだね。再販できる案件1に売れない案件1を抱き合わせにして強引に買わせるのさ。(又は次回案件で儲けさせる口約束をして買取業者に「借り」を作ってでも目標未達を回避する。)買取業者が渋るようなら「これを断ったら次の案件は無いぞ!」なんて脅し文句を使ってね。でもね、その再販できる案件ってもっと高く売れる可能性があるという見方もできるよね。とすれば、その売主にとっては本来手にする利益が削られたに等しく、その損失のお陰で倍の契約件数が成果にできたことになる。そんなもの「営業力」とは言えないよ。BM社の下請けいじめの構造に似てると思う。

    そうそう、BM社の中古車買取り部門はライバル社の案件(顧客)を許されざるあの手この手で横取りしたそうだね。高値で査定しておいて後から難癖を付けて価格見直しを迫ったりしてさ。不動産業界でもライバル社同士の無責任な高値査定合戦が横行してね。まずは「専属専任媒介」取得ありきの風潮だった。正しい価格査定を評価しない売主側にも多少問題があると思うんだけどさ、まさか大手仲介会社が媒介取得の為にそんな低次元の嘘をつく(忖度?査定価格改ざん?)とは思わないんだろうね。この手の過当競争については君のコラム№1「矛盾」や№37「抜き行為」が参考になるかもしれないな。

    ところで、BM社の社長が現場で起きていた悪行を「知らなかった。」って言ってたよね。事件が発覚するとトップは皆その様な弁解をする傾向があるけどさ、過剰な利益を追求するあまり真実から目を背けていただけだよね。そうでなきゃ、「私には企業統治の能力がありません!」と自らが宣言しているようなものじゃない?真のトップなら業績向上を評価しつつ、不自然な手数料率や売上に対しては冷徹な疑いの目を持たなきゃね。少なくとも僕は冷ややかに見ていたよ。数字のみで悪党どもを称賛してしまったら良識派の立つ瀬が無くなってしまう。

    (それでもB氏は今は亡きA社経営トップのD会長を擁護したい様子)BM社幹部(創業者やロイヤルファミリー)とA社経営トップのD会長は根本的には違うな。実績の伴う者の正論にはいつも耳を傾けてくれたよ。資本の論理に抗い続け、その(=親会社の)重圧を撥ね除けようと(業績を誇示すべく)正攻法では達成不可能な目標を仲介部門に要求し続けたこと、それにより歪んだ成果主義を誘発したこと、そうでありながら悪行を見過ごしてしまったこと、その3点は罪が重いと思う。もしかすると人知れぬ自尊心や功名心が目を曇らせてしまったのかもしれん。だがね、清濁併せ呑んでいたにしても本質的には善人だったんだろうな。営業会議の席上でC本部長が僕を口撃しようとするものなら咳払い一つで黙らせてくれたものさ。それでも口を挟もうとするものなら機先を制するかのように「B君の言う通りじゃないか!」と一喝したりするから却って角が立ってね。(苦笑)C本部長はD会長の傍らで苦虫を噛み潰したような顔をしてたよ。そんなだから僕をD会長の隠し子じゃないかと疑う人もいた。(笑)でもね、「(悪党と)戦って下さい。」と言う同僚や部下はいたけど「戦いましょう!」と言った人はいなかった。その点はやっぱりBM社と似ているのかな。僕は半沢直樹みたいに上席に土下座させるような下品なことは考えもしなかったけどね。(大笑)

    その後も不動産業界の舞台裏を隅々まで知るB氏の歯に衣着せぬ毒舌は暫し続いた。

     


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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