思うところ87.「残置物」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ87.「残置物」




    <2020.11.1記>
    この度、当社ホームページに「ECO広場」なる特設ページを開設した。中古のオフィス家具・備品等再利用可能な物品の「無償譲渡のお取次ぎサービス」の提供を試みる。その特設ページを開設するに至った経緯は、ある不動産取引で売主から、「契約時点では、何が残置物となるか不明、決済時点で残ったオフィス家具・備品は全て買主側で処分して欲しい。廃棄処分費は決済後7日以内に実費精算でどうだろう。」との明朗会計による売却希望を頂いたことに端を発する。

    我々の行う不動産の買取り業務においては、室内の汚損・毀損は勿論のこと、残置物ごと引き取ることが多いのだが、産業廃棄物の処分費が想定外の高額になることも多く、売買代金と明確に仕分けして取引することは大変有難かった。実際の取引では、なし崩し的に大量の不用品を放置して退去する売主・賃借人も多い。因みに、先日取引した古家の残置物はトラック4台分、家庭ゴミが混入する「混載扱い」で処分費が50万円を超えた。

    よくよく考えれば、賃貸仲介における建物明渡しの場面でも「残置物」の処分につき、その負担区分が争点となることが多い。一般的な賃貸借契約においては、残置物のあるまま借主が退去した場合、貸主はその処分費を保証金・敷金から差引くことができるようになっている。だが、その残置物が「厄介者(物)」扱いされることに違和感を覚えることもある。価値ある(再利用できる)物もあるだろうに、と。

    冒頭で記した不動産取引には後日談がある。売主の誠実なるお申し出に対して何らかの形で応えようと、「不用品の無償譲渡キャンペーンをやってみませんか?譲受人を同建物内の入居者、かつ期日内に部屋まで直接引取りに来ることができる人に限定すれば、お互いに運搬費の負担が掛かりません。廃棄処分費0円を目指しましょう!」と提案してみた。売主は、「物品の不具合は責任を持たないこと」と「譲渡後の返却(翻意)は一切受け付けないこと」の2点を前提に大賛成してくれた。当社の負担は、当該企画を告知する為に写真付の物品リストを作成し、無償譲渡(贈呈)である旨の案内を添えて同建物の集合郵便受けに投函するだけの些細な手間に過ぎなかった。当社に経済的な利益が無くとも、「成約顧客サービスの一環」と考えれば良いのであって、反響が無いなら予定通りに産業廃棄物として処分することになるだけである。誰にとっても「得」こそあれ、「損」の無い「お試し企画」だった。

    さて、「自転車」「書棚」「台車」の引き取り手が決まった時点でふと思った。その他の「シュレッダー」や「プリンター」等々も、中古で買い求めたならそれなりの対価である。これらは本当に「ゴミ扱い」で良いのだろうか・・・。そこで閃いたのが不用品の無償譲渡をお取次ぎする特設ページ「ECO広場」の開設、ということである。

    当社のスタッフに本業以外の作業で過剰な負担が掛らぬように前述の企画とほぼ同じ内容とした。物品の譲受人は、当社(又は現地)まで引き取りに来ることができる人限定(絶対条件)となる。法人でも、個人でも良いと思っているが、不用品を再利用して貰うことが目的の「顧客サービス」と「環境保護」が一体の「社会貢献活動」だから「転売目的」は困る。一人何品でも構わないし(むしろ歓迎)、当社との取引実績・予定の有無など全く問わない。但し、長期保管の負担が大である為、「先着順受付(早い者勝ち)」としたい。尚、物品の譲受け後に不用となっても返却は固くお断りする。また、物品の提供者も当社もその不具合まで責任は持てない。あり得ないことと信じたいが、不法投棄や営利目的等、コンプライアンス上の問題を排除する為にも本人確認証の提示を求め、確認事項につき一筆(記名押印)を頂く予定である。

    この度の取り組みの弱点は、原則として手運びができない大きな物品(ビジネス机や書庫・複合機等)は、運搬費と保管場所の問題があってお取次ぎの対象外(一部特例的に「現地受渡し条件」にて取扱い可)となることである。また、同様の理由で当社の不動産取引から派生し、所有権放棄された残置物の内、当社の独断で「再利用に値する」と判断した物に限られる。その上、遠方の方から受取人払いの配達を希望されたとしても、公平性を期して一切応じることはできない。もしかしたら、譲渡しの可能となる対象者が当社(日本橋茅場町)周辺に拠点のある方に限られてしまうのかもしれない。(壱万円以下の価値の物に壱万円以上の交通費を掛けてご来店されることはあるまい。)結果、本来は引く手あまたの物品が廃棄処分とせざるを得なくなることもあると思う。

    何はともあれ、興味本位で構わないので当社ホームページ内「ECO広場」を閲覧頂き、欲しいものを発見したならば、特設ページ内のメール問合せのフォーマットに必要項目を加入してその物品の譲受けを希望である旨をご一報頂きたい。電話応対(口頭)によって受付順位が不明瞭となる二重申込を避けたい。よって、当社へのメールの着信日時をもって明確に「先着順受付」とさせて頂く。

    ある人にとっては厄介な「不用品」だとしても、ある人にとっては、切望していた「貴重品」だという可能性を追求してみたい。不動産仲介と同じく「良縁」を仲立ちして「環境保護」の一助にもなるのなら、とても幸いな事である。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

オフィスランディックは中央区を中心とした住居・事務所・店舗の賃貸仲介をはじめ、管理、売買、リノベーションなど幅広く不動産サービスを提供しております。

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