思うところ108.「海老ちゃん」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ108.「海老ちゃん」




    <2021.9.15記>
    私の勝手なネーミングだが、呆れる営業姿勢として「海老ちゃんの名刺交換」というものがある。飛び込み営業で訪れた人(若手)の多くが来店直後から腰が引けていて名刺を差し出しながらも腰は後退しているように感じてしまうのである。(海老が敵前逃亡するときの動きを知っている人なら分かると思う。)そんな時、「せっかく訪ねてきたのだから、何かを得て(掴み取って)帰れば良いのに、」と思ってしまう。緊張のためなのか、名刺を受け取る側(当方)に魅力が足りないのかはともかく、資料を届けるだけならば、宅配便か郵便で充分ではないだろうか。もし、お互いが海老の姿勢(後ずさり)をするならば、より無意味で滑稽なものになるだろう。

    これも私独自のネーミングであるが、「アヒルの水掻き営業」には好感を持っている。(「コラム№71袋地」参照)私が「難しいこと」こそ、「涼しい顔」で遂行することを信条としており、水面下でもがきながらも何食わぬ顔で悠然と湖面を進む「アヒルの水掻き」のごとく仕事すべし、と考えているからである。「自信」と「力量」に整合性があってこその「あるべき姿」だとは思うが、何はともあれ、不動産業という仕事柄、どんな難局にあっても関係者を不安に陥れてはならないのである。医者が眉間に皴を寄せてばかりでは患者が不安になるのと同じことだ。我々が債務超過案件や紛争案件を取り扱う時、それは往々にして難度の高い「大手術」になるのである。誰しもが自信無さそうなヤブ医者に生死が関わる部位(「脳」や「心臓」)の執刀を任せたくないだろう。

    童話「ウサギと亀」も幼児向けに油断大敵であることと弛まぬ努力の大切さを説くにはとても良い譬え話であるが、社会人向けとなると今一つしっくりこない。能力を過信して手を抜くウサギも良くないが、遅すぎる亀も良くないと思う。生き馬の目を抜く不動産業界にあって、経営者の視点で物申せばどちらも評価しにくいのである。また、ウサギに改心する気持ちさえあるのなら、その潜在能力(伸びしろ)の方に期待せざるを得ない。純真無垢の小学生以下の子供にはとても語れない本音である。

    イソップ寓話「北風と太陽」はどうか。北風は「豪腕、権力」、太陽は「優しさ、温もり」の象徴だろう。不動産営業に当て嵌めれば、「強引」な営業よりも「親切・丁寧」な心ある営業の方が真の意味で成果となることが明白である。その点、コラム№69(EQ)でも述べている。「ディベート(説得力を競い合う弁論術)」や「三段論法(大前提:AはB、小前提:BはC、結論:つまりCはA)」といった技法(話術)の類いを用いて相手を論破、打ち負かしても不動産業では良い結果にならないように思う。「街づくり」を正しく行なえば、「再開発」と呼ばれるが、強引なことをすれば、「地上げ」と後ろ指を指される。「無理難題(無い物ねだり)」の家探しも、本人がそれを理解できるよう説明努力したうえで、納得がいくまで寄り添う方が良いだろう。

    本日のコラム、敢えて婉曲的に譬え話ではぐらかしているが、消極的・後ろ向き、になってしまった人に対する「嘆き」であり、そして「激励」でもある。不動産業界の営業スタイルに明らかに好ましくない変化(人間力の低下)がみられる。SNS(social networking service)やAI(artificial intelligence)の発達・普及で何かと便利となった反面、人との接し方に距離が開きつつ(希薄になりつつ)ある。「コロナ禍」の悪影響もあろう。元気に大きな声を出すことが憚られるご時世なのだから。業務の効率化やイノベーションを否定するつもりは毛頭無いのだが、人はもっと活き活きと仕事すべきである。

     


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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