思うところ77.「VIRUS」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・SOHOのことならオフィスランディック株式会社

TOPコラム一覧

  • 思うところ77.「VIRUS」




    <2020.6.1記>
    マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏は、5年前から「今後数十年で一千万人以上が亡くなる事態があるとすれば、戦争より感染性のウイルスが原因となるだろう。」と予言していた。今やその予言が早くも現実のものとなりつつあり、この度の「パンデミック(感染症の世界的大流行)」が世界経済を根底から揺るがし、あらゆる業界に暗い影を落としている。これから暫くは負の連鎖が続くだろう。

    自粛要請された事業者が、売上げの無いまま家賃(と人件費)の支払いに苦しんでいる。また、家主とて安泰の身ではない。多くの投資家が不動産の取得に際し金融機関から借入をしている。よって、家賃の滞納が頻発すれば家主も金融機関への支払いが不能となって窮地に陥る。家主が返済債務を不履行すれば、貸付したその金融機関の不良債権となって財務が傷む。金融機関の財務が傷めば、新規貸付に慎重になるだろう。「貸し剥がし」が横行しかねない。悔しいが、多くの倒産企業と廃業が出ることになると思う。改めて世の中が多方面に「繋がっている」ことを思い知らされる。

    常識」など実に儚いものである。つい先日まで会社に出勤するのが当然であり、我々の勤勉の証でもあった。今では、「在宅勤務」「リモートワーク」「テレワーク」「オンライン○○」といったキーワードを毎日のように新聞(紙面)に踊る。その記事が載る新聞ですら、インターネット配信の普及に伴って存在が危うい。従来の無駄(例:印鑑決裁、遠隔地に出向いての会議等々)を浮かび上がらせ、「働き方改革」にまで影響を及ぼしている。また、「9月入学」や「オンライン学習」への移行といった「学び方改革」の議論にまで飛び火した。もはや開き直ってイノベーションの好機とすべきなのか・・・。

    在宅勤務が日常的になるならば、住宅の間取りに対するニーズに変化が見られるかもしれない。家族との会話を遮断して職務に集中する為には、書斎的な執務スペースとしてもう一部屋欲しくなると思う。どうせなら防音効果を持たせて気兼ねなく楽器演奏できるよう防音室にしたらどうだろう。(趣味の部屋としても活用できる。)併せてインターネット設備のセキュリティアップが急務になる。用途が「専ら住宅」と定められた管理規約も在宅勤務の許容範囲を明記した方が良い。職住接近の重要性が薄れるなら、郊外や別荘地が居住地として再評価される可能性もある。在宅勤務ばかりでは、ビジネススーツ・靴・鞄の需要が先細りするだろう。「オンライン飲み会」が当たり前の時代が到来すれば、居酒屋の売上げを大きく伸ばす「宴会」も減る。物販・飲食店の売り上げが落ちる(利益が縮小する)ならば、今までは引く手が数多(あまた)であった路面店舗でさえその賃料が下押しされることになる。

    人と接せることにリスクや無駄があると言うのなら、映画「アバター」のように分身が活躍するようになるのだろうか・・・。既に医療の世界では遠隔操作ロボット技術の革新が目覚ましい。確かにVR(virtual reality)が普及すればモデルルーム見学など自宅で可能となる。効率面だけを考えれば、VR見学で一次審査して貰い、関心の高い物件に絞って実物見学して頂いた方が、借主・買主と不動産会社の双方にとって良いとの見方も尤もである。

    だが、経済的合理性を追求するあまり、同時に「何か」を見失うことを危惧する。面談すれば見極められる人体から発せられる善や悪の「オーラ」のような物の存在を否定できないし、データ分析のみでは判らない「直感」「嗅覚」も大切だと思う。大きな不動産取引ほど、「膝詰め」の商談の方が纏まり易い。やはり相対で商談を進めたいし、不動産は高額商品なのだから実物の見学をして十分な比較検証をお勧めする。

    余談であるが、「ドラゴンボールZ」という子供向け人気アニメ(原作者:鳥山明氏)で主人公の孫悟空が破壊神「ビルス」と互角に戦うシーンがある。作者のネーミングの意図は定かでないが、「ビルス」の綴りが「VIRUS」ならば、それは「ウイルス」のことである。(その付き人「ウイス」の名も意味深)この新型コロナウイルスは、既存の「常識」や「価値観」を覆す程の強大な力があるという意味において「破壊神」に近い。その出現は、世界人口が77億人を超えてしまった人類に対する何らかの警告かもしれない。人類の英知の結集が求められている。


PAGETOP