思うところ157.「缶詰、大爆発!」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ157.「缶詰、大爆発!」




    <2023.10.14記>
    唐突なタイトルだが特に深い意味は無い。文字通り缶詰が爆発したのである。不動産について語るべき本コラム欄において缶詰といった日用品(保存食品)を取り上げることに些か違和感を持たれるかもしれないが、運が悪ければ私が失明していたかもしれない事故だっただけに事の次第と本来あるべき対処法を書いておこうと思う。この体験談を披露しておくことが巡り巡って誰かの事故を防ぐことになるのなら実に幸いなことである。

    不動産の買取業務に携わっていると残置物のあるまま対象物件の引渡しを受けることは珍しくないと過去にも述べた。ゴミの処分費は売買代金に勘案(相殺)すれば良いことであるから然程問題にもしていない。再利用可能なオフィス家具等なら当社ホームページ「ECO広場」に出品、無償譲渡を告知してそれを欲しい人に橋渡しすれば良いのである。むしろ、一般取引価格(実勢価格)に比べると下値の買受条件とならざるを得ない再販前提の仕入値に納得して頂く為には必要なサービスの一環でもあり、そうすることでお客様に喜んで貰えるなら光栄なこと、と前向きに考えている。但し、我々がそれを行なうと産業廃棄物処分の扱いとなるから費用が割高になってしまう。我々のリノベーションプロジェクト(中古マンションの再生再販事業)で排出される建築廃材の処分費(一定量を年間契約)に比べて、分別されていない家庭ゴミは処分場も異なるし、「混載」の扱いとなるから更に割高になる。

    実のところ、その産廃業者にも不得手なものが幾つかあって、その一つが「食品」だ。(その他、有毒物質「アスベスト(石綿)」は有資格の産廃業者限定、家電リサイクル法に抵触する冷蔵庫・冷凍庫等も困る。)
    ある日、「これだけは困りますぅ!」と頑なに回収を拒否され、渋々自宅に持ち帰ったのが大量の缶詰類(保管期間10年超)だった。(その処分を社員に押しつけようものなら紛れもないパワハラになる。)それでも我が家のキッチンにはディスポーザー(生ゴミ粉砕処理機)があるから、缶を開けて食材を放り込むだけのことと安易に考えていた。

    楽観的に考えつつも少し気掛かりだったのは、どの缶も膨張して歪(いびつ)だったこと。微生物学的原因(微生物繁殖)か化学的原因(金属腐食)かは定かでは無かったが、いずれにせよ缶の中でガスが充満しており危険なことは一目瞭然だった。詰まらぬ雑務は早く片付けようと現場から自宅に直帰するなりキッチンに立った。悪臭も覚悟していたし、破裂することは想定内であったから、私はシンクの壁面に向かって体をのけ反らせながら(恐る恐る)缶切りの刃をフタの縁に入れた。すると、凄まじい破裂音と共に中のアスパラガスは散弾銃から発射された弾のごとく辺り一面に飛び散った。もし、無頓着に普通の角度で開けていたなら、アスパラガスが顔面を直撃して失明の恐れすらある程の破壊力だったように思う。

    キッチンパネルの惨状を呆然と見つめて己の予見不足を胸の内で恥じた。やはり私的な時間や場所においても丁寧な仕事を心掛けるべきだ。次の桃缶はバケツに充分な水を張って水中で開けることにした。すると今度は僅かな振動を感じると同時に「ボムッ」といった重低音を伴うガスが吹き出し、缶切りが半周を超えたところで静かに中身が放出されたのである。意外にも臭気は無く桃の良い香りがした。これが最初から選択すべき処理方法だった。だが、今回のコラムで読者に伝えたいのはそれだけではない。もっと恐ろしい爆発も起こり得るということである。

    私は、次々と缶(膨張していた缶詰の大半がフルーツ缶、その他、見た目はまだまだ食べられそうなツナ缶等)を水中で開けて中身をディスポーザーに放り込み、粉砕しながら生ゴミとして流し続けた。(生ゴミはマンション地下の処理槽でバクテリア処理される。)最後の1缶は見たこともない外国製のチョコレートパウダー缶(粉末ココアみたいなもの)だった。この爆発は想像を絶するものだった。バケツの中の殆どの水が焦げ茶色のパウダーと共に天井まで吹っ飛び、私もコントのオチのように全身が香しい「チョコまみれ」の滑稽な姿になってしまった。この様な事例はインターネットで検索しても見つからなかったが、所謂「粉塵爆発」の類いだったのだと思う。

    「膨張した缶詰の処理は小さな子供に任せてはいけない。大人と謂えども缶は水中で慎重に開けるべし、粉物の缶詰は特に用心すべきである。」と心に留めおかれたい。引越しや遺品整理の際、食品庫の片隅や手付かずのお中元・お歳暮類の中に長年に渡って忘れ去られた缶詰を発見した時、缶が膨張して歪んでいたら私のこの体験談(失敗談)を思い出して欲しい。

     


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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