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  • 思うところ149.「畳」




    <2023.6.14記>
    今回のコラムは「畳」について。折しも読者コラムニストのカッパさんに寄稿№41(別府たより)の冒頭で藺草(イグサ=畳の材料)に纏わる知識をご披露頂いている。

    日本人に部屋の広さを手っ取り早く説明するには「畳数」で答えるのが良い。電話で「リビングの広さはどの位?」を問われた時、「㎡」より「畳(ジョウ)」で説明する方が分かり易いことは言うまでも無いだろう。因みに当社の販売図面・募集図面では「畳」よりも同音異字の「帖」を用いることが多い。なぜなら、都心部のマンションにおける間取りは圧倒的にオール洋室プランの比率が高まっており、和室を連想させる「畳」よりも「帖」の方がしっくりくるからである。(=フローリングに「畳」表示は馴染まない。)また、「帖」の方が汎用性に優れ、和室に「帖」を用いても全く違和感が無いことも「帖」を多用する理由の一つだ。

    その「畳」だが、受注生産(部屋の寸法に合わせて畳を作る。)が一般的なので寸法に絶対的なルールは無い。代表的な規格は4つ。京都を中心として西日本で普及するのが京間(キョウマ=本間、1,910mm×955mm≒1.824㎡)で一番大きい。その次に大きいのが愛知・岐阜・三重で普及する中京間(チュウキョウマ=三六間=1,820mm×0.91mm≒1.656㎡)、関東地方で普及するのが少し小さめの江戸間(エドマ=関東間、田舎間、五八間=1,760mm×878mm≒1.545㎡)である。最も狭小の規格は主に共同住宅で採用されることの多い団地間(ダンチマ=団地サイズ、五六間=1,700mm×850mm≒1.445㎡)と呼ばれるものであり、地域や慣習に関係無く何処の分譲主、家主であっても、見映えを良くして売りたい・貸したいとの共通した思惑が透けて見える。

    要するに、和室の広さに違和感を覚える時、仮に畳が6枚あったとしても自宅の6畳と同じ面積とは限らないのである。団地間は京間の面積対比で約79.2%に過ぎない。団地間の畳6枚は、京間の4.8畳にも満たない面積ということになる。だからこそ、消費者保護の観点から「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」に基づき、1畳(帖)は1.62㎡換算して表示するよう規制されている。つまり、特殊サイズの畳6枚の実際の面積が9.40㎡ならば、6畳と表示することは違反広告になるのだ。正しくは9.40㎡÷1.62㎡≒約5.8畳(帖)と表示しなければならない。

    最近流行の特殊サイズは「琉球畳」だ。「琉球畳」の本来の材料は一般的な藺草ではなく、今となっては大分県国東(くにさき)地方のみで僅かに生産される七島藺(しちとうい=切断面が三角形の藺草の一種)を畳表の素材とする。七島藺は元々沖縄(琉球)で生産されていたことから「琉球畳」の呼称が定着した。ところが、建築に詳しいはずの不動産業界でも、縁(ふち)のない半畳サイズの畳のことを総称して「琉球畳」と呼ぶことが多くなっており、この様な解説をすると「理屈っぽい人」と勘違いされる始末である。

    畳は昔より格段に軽くなった。現在の主流は「スタイロ畳」である。芯材がスタイロフォームと呼ばれる化学製品で、昔ながらの藁畳に比べて断熱性は3倍以上あるうえダニの発生も防いでくれる。何と言っても藁畳の約8分の1程度の軽量である点が最大のメリットだ。

    最後に日本古来の「畳」が「スタイロ畳」に劣るものと誤解されぬよう一文添えておく。小学生の頃、祖父に頼まれて自宅から約1kmのミカン畑に不要となった畳をリヤカーで運んだことがある。畑への道が傾斜地であった影響も大きかったがとても重かった。伝統的な藁畳だったからだ。(当時、「スタイロ畳」は普及していなかった。)その自然由来の藁畳は畑に敷き詰めると防草シートの役割を果たし、その後数年掛けて堆肥化していく。些細なことなれど、寡黙な祖父が自然体で孫に教える循環型社会の縮図が其処にあった。

     


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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