思うところ206.「理系OR文系」 | 茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

TOPコラム一覧

  • 思うところ206.「理系OR文系」




    <2025.11.1記>
    これはあくまでも「理系OR文系」の話であって「理系VS文系」の話ではない。それぞれの特性を有する人については敵対する関係にあるわけではないし、ましてや特性の優劣を問うものではないことを予め申し上げておく。今回の内容はコラム№153で紹介した「役立つ性格分析」の続編的テーマに近い。

    まずは小学生の頃、算数は人並外れて得意な割に国語は極めて不得意、国語は大好きなのに算数は大嫌い、そんな子が身の回りにいたことを思い出して欲しい。大人になってからも「原理原則に従って怖いくらいの冷徹な判断ができる人」だとか「自分には思いつかないような奇想天外アイデア(特に斬新なデザインや色彩感覚)を持つ人」に出会ったことがあると思う。お客様も営業マンも何となく理系と文系のタイプに分かれる傾向があるように思えてならないのは私だけではないだろう。その仮説が正しいとすれば、何らかの形でその性格分析を仕事に活かせるのではないかと考えた次第である。「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず。彼を知らずして己を知れば一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば戦う毎に必ず殆し。」と中国春秋時代の偉大な兵法家孫子も言っている。
    もっとも、大多数の人が「どちらかと言えば、」程度の僅かな偏りに過ぎないから、私のように「どちらでもない人」の割合を含めた集団の全体構成比で見れば足しても一割に満たないであろう超理系と超文系に分類されるほんの一握りの人達についての思うところである。

    本コラムで私が言わんとする「超理系」とは客観的に理詰めで深く考える人、「超文系」とは主観的に感性を以て閃きで判断する人、というあくまでも個人的イメージによる仕分けに過ぎない。その様に人格形成が分かれる原因にはおそらく脳機能が密接に関与している。左脳は言語や計算力、論理的思考を司り、右脳は想像力や閃きを司る役割であることが科学的にも概ね解明されている。だから超理系の人は左脳の方が発達、超文系の人は右脳の方が発達していると推定される。ならば、物理学者には左脳が発達している人が多いだろうし、芸術家には右脳が発達している人が多いはずである。人類史上最も多才と言われるレオナルド・ダ・ヴィンチは判定不能レベルの天才だろう。左右どちらの脳も極端に発達していたに違いない。

    私が思うに超理系のお客様を超文系の営業マンが担当すると上手くいかない気がする。その昔(私の会社員時代)、ある新築建売現場で営業マンがお客様に「住まい選びのポイントは何?」と問われた際、「気合いです!」と元気良く大きな声で即答したところ、その珍回答にお客様が大笑いしたとするエピソードを耳にしたことある。それは運良く相性が良かっただけのこと。もし、そのお客様が超理系だったならばその答えには納得しなかったと思う。場合によっては不謹慎なアドバイスだと怒り出したかもしれない。営業マンは咄嗟の閃きでウケを狙いながらも決断力の大切さを端的に言い放っただけのことだろうが、お客様にしてみれば住まい選びの決め手について優先順位を具体的に知りたかったのではないかと思う。真逆の組み合わせもまさに水と油。超文系のお客様を超理系の営業マンが担当しても同様に話が噛み合わないだろう。お客様は「理屈っぽいなぁ。」と感じて営業マンの説明に嫌悪感を抱く恐れがある。

    建築土木の優秀な技術者程に超理系が多いと感じている。私の場合、そういう人達には具体的数値を示すことを心掛けている。完工日なら「なる早!」ではなく、「何年・何月・何日・何時迄に」とか、色味なら単に白系とか白っぽい色と言うよりもクールホワイトかアイボリーなのか位は希望を明確にすべきだし、本来は品番やカラーコードでやりとりするのが望ましい。フローリング材を選択するなら遮音等級:LLの数値まで指定しなければ工事の打合せは進まない。耐震について語る時は、N値(=地盤の固さの数値)、SI値(=Spectral Intensity:スペクトル強度、地震によって建物に生じる被害を数値化したもの)の何たるかを知っていなければ会話が成立しない。不動産業とは(分野・職種にもよると思うが)世間一般に思われているよりも意外と幅広い知識が必要なのである。

    さて、今一度コラム№153(役立つ性格分析)をお読み頂けると幸いである。そこで紹介した縦軸上段を「Adult=A」、縦軸下段を「Child=C)」と点対称に、横軸左端を「Mother=M」、横軸右端を「Father=F」と点対称に位置付けた性格分析の円グラフ、それと同じように縦軸上段を「理系」、縦軸下段を「文系」と点対称に置き、横軸左端をIQ(=Intelligence Quotient=知能指数)、横軸右端をEQ(=Emotional Intelligence Quotient=感情指数≒心の豊かさ)と点対称に位置付けた円グラフを用いて対象者の性格を分析することができないだろうか。

    例えば、超理系でIQが極端に高く、それでいてEQが極端に低いモンスター級のクレーマーが出現したらとても厄介な事態になるであろうことが予想できる。おそらく理詰めで断片的には正論の主張を自己に都合良く繋ぎ合わせて声高に異議・苦情を捲し立てることだろう。そうなると「理」や「知」のみを以て円満に解決することは困難になると思う。そんな時、頼りになる心豊かな人を私は胸の内で「超EQ戦士」と呼んでいる。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

オフィスランディックは中央区を中心とした住居・事務所・店舗の賃貸仲介をはじめ、管理、売買、リノベーションなど幅広く不動産サービスを提供しております。

茅場町・八丁堀の貸事務所・オフィス, 中央区の売買物件検索
PAGETOP